2025.02.14

Prism Partner DSPへの実装技術に関する論文 がWeb 分野のトップカンファレンス「WSDM 2025」に採択

  • プレスリリース

株式会社Prism Partnerは、当社が展開する広告配信プラットフォーム「Prism Partner DSP」にて実装した技術に関する論文が、Web分野の国際会議「WSDM 2025」※1の「Industry Day」にて採択されたことをお知らせいたします。

当該論文「Efficient Creative Selection in Online Advertising using Top-Two Thompson Sampling」は、(技術開発を担う)サイバーエージェントAI事業本部所属の桂川大輝、金子雄祐および人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」に所属する研究員である蟻生開人、阿部拳之により執筆されました。当社において、サービス(プロダクト)に実装した研究成果が国際学会で採択されたのは、今回が初となります。

【WSDMについて】

「WSDM」は世界中の研究者によって毎年開催される国際会議で、「The Web Conference」「KDD」※2などと並び、Web・データマイニングの分野で権威あるトップカンファレンスの一つです。今回採択された「Industry Day」では、産業環境における研究技術の新たな応用や課題が紹介されており、世界を代表するテクノロジー企業が参加する重要な技術交流の場として、産業界から高い注目を集めています。

採択された論文は、2025年3月にドイツのハノーファーで開催される「WSDM 2025」での発表を予定しています。

【背景】

オンライン広告において、複数の広告クリエイティブ(広告素材)の中から最も効果の高いものを選び出すことは、広告効果を最大化する上で重要な課題です。近年、この課題に対して、データを活用しながら最適な選択を行う「バンディットアルゴリズム」と呼ばれる手法の研究が盛んに行われています。サイバーエージェントのAI LabのReinforcement Learningチームでは、スマートフォン向けパフォーマンス型広告プラットフォーム「Dynalyst」をはじめとする広告配信プロダクトチームとともにバンディットアルゴリズムに関する研究開発を続けております。

当社の提供する広告配信プラットフォーム「Prism Partner DSP」では、複数の広告クリエイティブの配信実績に基づいて、広告効果の高いクリエイティブを特定し、その特定されたクリエイティブのみをユーザーに配信していました。一方で、最適なクリエイティブの特定において一般的なA/Bテストを実施するうえで、各クリエイティブに対して表示回数を均等に割り当てて広告配信をしていました。そのため、最適なクリエイティブを迅速かつ正確に特定する手法と実装が求められていました。

論文の概要】

本研究では、Top-Two Thompson Sampling(TTTS)と呼ばれる手法※3を応用してオンライン広告において効率的なクリエイティブ選択を実現しています。

TTTSは、広告配信の文脈において、最小限の表示回数で最も効果の高いクリエイティブを高精度で特定できる手法であることが示唆されています。さらに、実装や応用上の制約に対応しやすいという利点も持っています。しかし、比較的新しい手法であるため、これまで実システムにおけるTTTSの産業応用例は限られていました。 そこで、広告配信という実践的な領域でTTTSを用いた効率的な探索を実現し、特定された最適なクリエイティブを活用する機能を開発しました。その結果、従来のA/Bテストと比較した検証において、最適なクリエイティブを特定する精度が13%向上し、そのクリエイティブを活用することでクリック率(CTR)の最大化の可能性が高まりました。さらに、最適なクリエイティブを探索する期間中のCTRが9%向上し、実験コストの大幅な削減にも成功しました。

今後の展望】

本手法はPrism Partner DSPに既に実装され、その実用性が示されています。
最適なクリエイティブを迅速かつ正確に特定する手法が確立されたことで、よりよい効率的な広告配信を提供していきます。

※1:「WSDM」ACM International Conference on Web Search and Data Mining
※2:「The Web Conference」ACM International World Wide Web Conferenc
「KDD」ACM SIGKDD Conference on Knowledge Discovery and Data Mining
※3:Daniel Russo. 2020. Simple Bayesian Algorithms for Best-Arm Identification.
Operations Research 68, 6 (2020), 1625–1647

【本リリースに関する問い合わせ先】

株式会社Prism Partner コーポレート部 広報グループ 
promotion@prismpartner.cp.jp 

【株式会社Prism Partnerについて】

会社名 : 株式会社Prism Partner(HP: https://www.prismpartner.co.jp/)
設立 : 2022年6月30日
代表者 : 代表取締役社長 棚澤康之、代表取締役副社長 神戸崇行
出資比率:株式会社NTTドコモ: 51%、株式会社サイバーエージェント: 49%
所在地 : 東京都千代田区永田町二丁目11番1号 山王パークタワー9階
事業内容:広告・販促商品の配信・運用・販売事業